本記事はインドネシア進出を検討している方向けに、日系企業がインドネシアで駐在員事務所を開設する手順を具体的に解説しています。
加えて、駐在員事務所を開設する「メリット・デメリット」や「向いているケース」についても併せて解説しているので、本記事を読めば、インドネシアでの駐在員事務所開設の是非を判断した上で、実際に手続きを進める事ができます。
なお、インドネシアに「会社設立する手順」や「雇用代行サービスを利用する手順」については下記記事で詳しく解説しています。あわせてご確認ください。
1.【業種別】インドネシア駐在員事務所の種類と役割
インドネシアにおける駐在員事務所開設は、会社設立より手続きは簡単ですが、現地で展開できる事業内容は限定的です。
まずは、業種で異なる駐在員事務所の種類とそれぞれの役割を表にまとめました。
注意すべき点は駐在員事務所の中で、収益活動ができるのは「外国建設駐在員事務所」のみとなることです。
種類 | 外国商事 駐在員事務所 |
外国企業 駐在員事務所 |
外国建設 駐在員事務所 |
---|---|---|---|
日系企業の業種 |
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許容される 業務内容 |
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注意点 |
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所管 | 商業省 (実務は投資調整庁の管轄) |
投資調整庁 | 公共事業省 |
2.インドネシアで駐在員事務所を開設するための費用と要する期間
日系企業が駐在員事務所を開設する際、かかる費用や期間を解説します。
2-1.駐在員事務所開設の費用相場
インドネシアに駐在員事務所を開設する際の費用相場は
30万円程度です。
駐在員事務所の開設の場合は、現地法人設立に必要な資本金などの用意は必要ありません。
基本的に現地の事務所開設にかかる実費だけと考えてよいでしょう。
しかし、所管の省庁にライセンスを受ける必要があるなど、インドネシアの複雑な手続きを専門家の手を借りずに行うのは困難です。
そのため、インドネシア進出する日本企業の多くは、コンサルティング会社など、海外進出の専門家に相談しています。
専門家への相談先がわからない場合は、INDONESIA WORKSの無料相談をご利用ください。
駐在員事務所開設に関するご相談を無料で受け付けています。
2-2.駐在員事務所開設までにかかる期間
インドネシアに駐在員事務所を開設するまでにかかる期間の目安は
1か月半~2か月程度です。
現地法人設立に比べて、大幅な期間短縮が可能です。
しかし、所管の省庁の審査を受ける必要があるため、スムーズに手続きを進めるにはプロの手を借りたほうが確実でしょう。
具体的な手順に分けたそれぞれかかる期間については「3.インドネシアで駐在員事務所を開設する手順」をご確認ください。
3.インドネシアで駐在員事務所を開設する手順と必要書類
日系企業がインドネシアに駐在員事務所を設けるための手順や必要な書類について、具体的に解説します。
3-1.駐在員事務所開設の流れ
インドネシアで駐在員事務所を開設するための大まかな流れをまとめました。
3種類ある駐在員事務所の開設は、スキームがそれぞれ若干異なり、ここでは外国商事駐在員事務所を例に流れを解説します。
〈図 駐在員事務所(外国商事駐在員事務所)開設の流れ〉
項目 | 内容 | 所要期間の目安 | |
---|---|---|---|
1 | 代表者を決定して書類を準備する | 駐在員事務所の代表者を決定する。並行して事務所物件選定を始める。 本国(日本)にあるインドネシア大使館に提出し、認証を受ける書類の準備をする。同時進行でインドネシアでの手続きに必要な書類もそろえる。 |
1週間~ |
2 | インドネシア大使館へ書類提出し、認証を受ける | Letter of Appointment、Letter of Intent、Letter of Statementなどの認証を受けるために書類を提出する。 Letter of Referenceの発行を受ける。 |
1週間~10日間 |
3 | 仮許可を申請する | 本国のインドネシア大使館で認証・発行を受けた書類や活動計画書などを用意して提出・申請する。 | 10日間程度 |
4 | 本許可を申請する | 仮許可申請時の必要書類、仮許可証原本、外国人労働者の労働許可の写しなどを用意して提出・申請する。 | 1週間~10日間程度 |
5 | 駐在員事務所を開設する | 駐在員事務所を開設後、所長の交代、事務所移転など、変更を申請する際は都度、インドネシア労働者雇用の誓約書の提出が必要。 | - |
〈STEP1〉 代表者を決定して書類を準備する
まずはインドネシアの駐在員事務所の所長となる代表者を選定します。
代表者は本社から任命するほか、業務委託契約をした現地の人材を代表者とすることも可能です。
代表者が決まったら、手続きに必要な書類の準備を始めます。
なお、書類はインドネシア語に翻訳したものを用意しなければなりません。
この段階でコンサルティング会社などに手続きについて委託するケースが一般的です。
〈STEP2〉インドネシア大使館へ書類を提出し、認証を受ける
駐在員事務所の開設にかかる書類を提出して、認証を受けます。
必要書類は、「3-2. 駐在員事務所開設に必要な書類一覧」で詳しく解説しています。
〈STEP3〉仮許可を申請する
インドネシア大使館で認証を受けた書類、誓約書などを用意して、仮許可を申請します。
仮許可は「発行から2か月間の有効期限があること」に注意が必要です。
申請に不備がなければ5営業日以内に発行されるとの規定がありますが、準備などの時間も踏まえて余裕をもっておくとよいでしょう。
〈STEP4〉本許可を申請する
仮許可から2か月以内に本許可の申請を行い、投資調整庁の「統合ワンストップサービス(PTSP)センター」から発行を受ける必要があります。
加えて、事業認可オンラインサービス(OSS)を利用してNIB(事業基本番号)も取得も必要です。
「事業基本番号(NIB)を取得する手順」については、下記記事で解説していますので、あわせてご確認ください。
〈STEP5〉駐在員事務所を開設する
事務所の開設は「州都」「県都」「市」で認められています。
許可の有効期間は最長3年で、更新の回数制限はありません。
3-2.駐在員事務所開設に必要な書類一覧
インドネシアで駐在員事務所を開設するために必要な書類は以下のとおりです(外国商事駐在員事務所の場合)。
<インドネシア大使館で認証・発行を受けるもの>
- 駐在員事務所代表への任命書
- インドネシア駐在員事務所の貿易活動や販売取引への従事を禁じる規制に関する趣意書
- 所長(代表者)が駐在員事務所の業務に専従し、インドネシアに居住するとした宣誓書
- インドネシア大使館商務官または代表からの紹介状
<仮申請に必要な書類>
- (所長が外国人の場合)所長となる人の履歴書
- (所長が外国人の場合)有効なパスポートの写しと外国人労働者雇用許可(IMTA)
- (所長がインドネシア人の場合)有効な住民登録証(KTP)と納税者番号(NPWP)の写し
<本申請に必要な書類>
- 仮許可申請時に提出した書類
- 仮許可証原本
- 外国人労働者の労働許可の写し
- 駐在員事務所の所在地証明
なお、必要な書類は開設する駐在員事務所の種類によって若干異なります。
詳細については、在日インドネシア大使館やインドネシアの所管省庁などに確認する必要がありますが、スムーズに開設を進めるためには、インドネシア進出を専門とするコンサルティング会社に依頼することをおすすめします。
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4.インドネシアで駐在員事務所を開設するメリット・デメリット
企業のインドネシア進出形態は、下記の3つです。
- 現地法人を立ち上げる
- 駐在員事務所を開設する
- 海外雇用代行(EOR・GEO・PEO)を利用する
上記の中で「駐在員事務所開設を選ぶ」メリット・デメリットを紹介します。
4-1.インドネシアで駐在員事務所を開設するメリット
インドネシアで駐在員事務所を開設するメリットは以下のとおりです。
駐在員事務所を開設するメリット
- インドネシア拠点の開設や撤退にかかるコストを抑えられる
- 現地法人の設立よりも開設手続きが煩雑ではない
- 暫定の措置として進出を図れる
「現地法人の設立」という多額の費用や労力を費やす前に、インドネシアでの市場調査や事業開発の準備をするのに適しています。
4-2.インドネシアで駐在員事務所を開設するデメリット
インドネシアで駐在員事務所を開設するデメリットは以下のとおりです。
駐在員事務所を開設するデメリット
- 営利目的のビジネス活動ができるのは「外国建設駐在員事務所」のみ
- オフィスの場所やインドネシア人の雇用義務など、さまざまな規制や義務がある
駐在員事務所は「現地法人の設立準備」や「市場調査」などの非営利活動のみを行うことができます。
営利目的の設置ができるのは、外国建設駐在員事務所のみとなり、インドネシア企業との共同事業とする必要があります。
また、営利活動のほかにも駐在員事務所の種類によって規制や義務が異なるため、インドネシアでスモールスタートを検討している場合は、「雇用代行サービス」の利用も検討するとよいでしょう。
5.駐在員事務所開設が向いているケースはこれ
企業のインドネシア進出形態は3パターンありますが、駐在員事務所開設は暫定的な進出に適している方法といえるでしょう。
インドネシアで「駐在員事務所開設」に向いているケースには以下のようなものがあります。
駐在員事務所開設に向いているケース
- インドネシア進出に向けた事前調査をじっくり行いたい
- インドネシア市場に興味があり、市場調査を現地でしたい
- 現地の子会社の営業活動を本社として管理のみ行いたい
- インドネシア国内の建設事業に携わりたい
ただし、駐在員事務所開設には運営に制約が多いため、先を見据えた判断も必要となります。
また、専門的な知識を必要とする手続きもあるため、海外進出を手掛けるコンサルティング会社に早期に相談することをおすすめします。
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