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インドネシアでの税理士・会計事務所の選び方|「9つのポイント」で選定基準を紹介

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本記事はインドネシア進出を本格的に進めている、もしくは進出している方向けに、現地で業務を依頼する「税理士・会計事務所」を選ぶ際の基準について、「9つのポイント」に整理して解説しています。

インドネシアへの「進出の流れ」や「税務・税制」については下記記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。

1.インドネシアで税理士・会計事務所を選ぶ9つのポイント

インドネシアで相談・依頼する現地の税理士・会計事務所を選ぶ際、以下の9つのポイントを基準とすると、スムーズに選ぶことができます。

<インドネシアで税理士・会計事務所を選ぶ9つのポイント>
ポイント 内容
①日系かローカルのどちらか 「日系企業の支援を得意とするローカル事務所」に依頼すれば、日系事務所とローカル事務所、それぞれのメリットを兼ね備えたサポートが期待できる。
②インドネシアの「公的な資格」を所有しているか 「公的な資格」を判断基準とすると、一定以上の質が保証される。
③相談や依頼内容を得意としているか 事務所の得手不得手を理解しておく。
大きく「手続き業務型」と「コンサル型」の2種類があるので、注意が必要。
④費用が明確で、事前に把握できるかどうか 費用が不明確なまま依頼してしまうと、想定外の費用を請求されたり、追加料金を求められたり、といったトラブルにつながる恐れがある。
⑤日本の税制に精通しているか 日本の税制をはじめ、国際税務の知識と理解がない事務所に依頼してしまうと、企業の税務リスクが高まる恐れがある。
⑥日系企業の支援実績があるか 日系企業特有の課題に対する深い理解と豊富な対応経験が期待できるため、事務所選びの失敗リスクを軽減できる。
⑦税務調査や当局対応の経験があるか 税務調査や当局対応の経験が豊富な事務所と関係性を構築しておくと、有事の際に円滑な対応が期待できる。
⑧税務計画や節税対策のアドバイス能力があるか インドネシアの税制は複雑であるため、法令を遵守しながら税負担を軽減することは企業にとって非常に重要。
⑨税務以外の総合的なサービス提供されているか インドネシアのビジネス環境は複雑で、税務だけでなく法務や労務など幅広い知識が求められるため、包括的なサポートを受けられることは大きなメリット。

それぞれについて解説します。


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〈ポイント1〉 日系かローカルのどちらか

インドネシアにある税理士・会計事務所には、日本企業が進出して設立した「日系の事務所」と現地企業が経営する「ローカルの事務所」があります。
まずは相談・依頼する税理士・会計事務所を「日系の事務所」か「ローカルの事務所」かを決めましょう。

1-1-1.日系事務所を選ぶメリットとデメリット

<日系事務所を選ぶメリットとデメリット>
メリット/デメリット 内容
メリット
  • 日本語でのコミュニケーションが可能であり、日本のビジネス文化や法律に精通したスタッフが在籍している。
  • 複雑な税務や会計において、言語の壁を感じることなく、円滑なやりとりが期待できる。
デメリット
  • 費用がローカル事務所よりも高くなる

インドネシアに進出している日系企業が選ぶ際、日系の事務所を選ぶ最大のメリットは「安心感」です。
日本人スタッフが在籍しているケースが多く、日本語で相談や依頼できる点は、異国の地にあって大きな魅力です。

1-1-2.ローカル事務所のメリットとデメリット

<ローカル事務所を選ぶメリットとデメリット>
メリット/デメリット 内容
メリット
  • インドネシアの慣習や法令に詳しく、ニーズに応じた柔軟な対応が可能。
  • 費用が日系事務所よりも安くなる。
デメリット
  • 日本語で相談・依頼できないケースが多い。

インドネシアに進出している日系企業がローカルの事務所を選ぶ際に不安を感じる主な理由の一つが、コミュニケーションの問題です。

お互いに英語で十分な意思疎通ができれば問題ありませんが、日本語でのコミュニケーションを希望する場合には、ローカル事務所を選ぶのは避けたほうが無難です。

1-1-3.「日系企業の支援を得意」とするローカル事務所がおすすめ

ずばり、一番おすすめなのは

「日系企業の支援を得意」とするローカル事務所へ依頼することです。

上記タイプの事務所は、「日本語対応が可能」もしくは「日本人スタッフが在籍している」ことが多く、日系事務所とローカル事務所それぞれのメリットを兼ね備えています。

なかでも、コスト面での競争力が高く、中小企業や新興企業にとって非常に魅力的な選択肢となるでしょう。

〈ポイント2〉 インドネシアの「公的な資格」を所有しているか

税理士・会計事務所やコンサルタントは数多く存在しており、どの事務所やコンサルタントが適切かを見極めるのは容易ではありません。

その際、判断の目安となるのが「公的な資格」を持つスタッフが在籍しているかどうかです。

現状では「資格保有者の名義貸し」や「無資格での活動」も可能であるため、一見するとどの事務所やコンサルタントも同じに見えますが、「公的な資格」を判断基準とすることで、一定以上の質が保証されます。

<公的な資格を基準にする理由>

  • 資格保有者がいることで、一定の専門性が期待できる。
  • 資格には有効期限があり、定期的な更新が必要。
  • 更新時には研修やスキルアップが求められるため、最新の知識や技術が保たれている。

現在、インドネシアの税務に関する公的な資格を持つ日本人は、「ほぼいない」といわれています。
日系の事務所やコンサルタントを選ぶ際は、「公的な資格」を持つスタッフが在籍しているかどうかを確認するとよいでしょう。

1-2-1.税務コンサルを行うための「公的な資格」

インドネシアで税務コンサルティング業務を行うためには、「税務コンサルタント証明書(Sertifikat Konsultan Pajak)」が必要です。

税務コンサルタント証明書を取得するためには、特定の条件を満たし、インドネシア財務省の税務コンサルタント資格認定委員会(PPSKP)が実施する税務コンサルタント資格試験(USKP)に合格する必要があります。

<税務コンサルを行うための「公的な資格」>
税務コンサルタント証明書 内容
レベルA 個人納税者に対して税務サービスを提供することが可能。
(ただし、インドネシアとの租税条約を有する国に居住する場合を除く)
レベルB 個人納税者および法人納税者に対して税務サービスを提供することが可能。
(ただし、外国投資納税者、恒久的施設、およびインドネシアとの租税条約を有する国に居住する納税者を除く)
レベルC すべての種類の納税者に対して制限なく税務サービスを提供することが可能。

さらに詳しい条件や認定プロセスについては、インドネシア財務省の公式ウェブサイトで確認できます。

1-2-2.会計を行うための「公的な認定・資格」

インドネシアで会計士として活動するには、財務省やインドネシア会計士協会(IAI)からの認定を受ける必要があります。

<会計士として活動するために必要な認定>
会計士 内容
公認会計士
(Public Accountant License)
主に財務諸表監査サービスを提供するために必要。
発行機関:財務省の金融専門職育成センター(PPPK)
プロフェッショナル会計士
(Professional Accountant Certification)
監査以外の分野でプロフェッショナルとして活動するために必要(例:管理会計士、税務会計士、財務コンサルタント)。
発行機関:インドネシア会計士協会(IAI)

また、会計分野で特定の専門性を持つために以下のような資格もあります。

特定分野の会計資格

  • 管理会計士資格(CMA): 管理会計士向け
  • 公認財務分析士資格(CFA): 投資・財務分野の専門家向け
  • 内部監査士資格(CIA): 内部監査専門家向け
  • 税務資格(Brevet): 税務分野で活動する会計士向け

〈ポイント3〉 相談や依頼内容を得意としているか

相談や依頼したい内容を得意とする税理士・会計事務所を選択しましょう。
税理士・会計事務所にはそれぞれ得意分野があり、大きく以下の2種類に分けられます。

<税理士・会計事務所の種類>

  • 手続き業務型
  • コンサル型

依頼する内容が不得手な事務所を選択してしまうと、期待する結果が得られない可能性が高いです。
それぞれの特徴は以下のとおりです。

1-3-1.手続き業務型

手続き業務型は、記帳代行、年次申告や確定申告などの税務・会計関連などの実作業や手続きを行います。

イメージは業務のアウトソーシングといったもので、必要な業務だけしっかりやってくれれば問題ない、ということであれば問題ありません。

1-3-2.コンサル型

コンサル型は、税務申告や財務分析などの税務・会計のサポートに加え、税務リスクの回避や節税による経営の効率化などのアドバイス、現地スタッフの育成等さまざまなコンサルティング業務を行います。

また、税務調査や意義申し立て、税務裁判など税務に関するトラブル対応に得意としている事務所もあり、主にコンサルティング会社などが多いです。

〈ポイント4〉 費用が明確で、事前に把握できるかどうか

費用の明確さは、インドネシアで税理士・会計事務所を選ぶ際に欠かせない重要なポイントです。

インドネシアの税制は複雑で、特に外国企業や日系企業にとっては理解が難しい部分が多いため、「費用の透明性が信頼できる事務所選び」の鍵となります。

一部の事務所では、追加料金や特定条件による料金変更が発生することも少なくなく、トラブルを避けるためにも、事前に具体的な費用体系を確認しておくことが大切です。

明確な費用を把握することで予算管理がしやすくなり、安心してサービスを利用することができます。

〈ポイント5〉 日本の税制に精通しているか

インドネシアで税理士・会計事務所を選ぶ際には、その事務所が日本の税制など国際税務に精通しているかどうかも重要なポイントです。

インドネシアと日本は二重課税の回避や脱税の防止のために租税条約を締結しており、適切な手続きや申告が求められます。

また、移転価格問題にも直面する日系企業も多く、日本の税制の理解が弱い事務所に依頼してしまうと、企業の税務リスクが高まるので、注意が必要です。

租税条約については、下記記事で解説しています。あわせてご覧ください。


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〈ポイント6〉 日系企業の支援実績があるか

税理士・会計事務所の選択に不安がある場合は、「日系企業への支援実績があるかどうか」を判断基準にすることをおすすめします。

支援実績が豊富な事務所であれば、日系企業特有の課題に対する深い理解と豊富な対応経験が期待できるため、事務所選びの失敗リスクを軽減できます。

インドネシアで税理士・会計事務所を探すときは、事務所の公式サイトなどに掲載されている過去の実績や事例を確認しておくとよいでしょう。

〈ポイント7〉 税務調査や当局対応の経験があるか

税理士・会計事務所を選ぶ際には、「税務調査や当局対応の経験」を重視することをおすすめします。

外国企業は税務当局のターゲットになりやすいため、税務調査や当局対応の経験が豊富な事務所と関係性を構築しておくと、有事の際に円滑な対応が期待できます。

さらに、税務調査後のサポート体制も確認しておくと、安心です。
調査結果に納得がいかない場合、「異議申立て」や「税務裁判」に進むこともあり、その際には会社の立場に立ち、税法を遵守しながら必要な主張をしっかりと行える事務所が頼りになります。

税務当局と良好な関係を持ちながらも、企業の代理人として毅然とした対応ができる事務所を選ぶことで、税務リスクを最小限に抑え、安心して事業を進めることができます。

税務調査については、下記記事で解説しています。あわせてご覧ください。

〈ポイント8〉 税務計画や節税対策のアドバイス能力があるか

インドネシアの税制は複雑で頻繁に変更されるため、現地の法律や規制を理解している専門家の助けが不可欠です。

税理士事務所が提供する税務計画や節税対策のアドバイスは、企業が法令を遵守しつつ、合法的に税負担を軽減し、ビジネスの競争力を高めるために欠かせない重要な手段です。

特に日系企業にとっては、日本とは異なる税制環境への適応が求められます。
適切な税務計画を立てることで財務状況を健全に保ち、効果的な節税対策を講じることで余剰資金を効率よく活用できます。

〈ポイント9〉 税務以外の総合的なサービス提供されているか

税務以外のサービスも提供しているか確認することをおすすめします。

インドネシアのビジネス環境は複雑であり、税務だけでなく法務、労務など多岐にわたる知識が求められます。

特に外国企業にとっては、現地の法律や規制を理解し遵守することが不可欠です。
税理士・会計事務所が税務以外のサービスを提供している場合、これらの複雑な要件に対して包括的なサポートを受けることができるため、リスクを軽減し、ビジネスの円滑な運営が可能になります。

2.おすすめのインドネシアの税理士・会計事務所5選

ここでは税理士・会計事務所を選ぶ基準を踏まえ、おすすめのインドネシアの税理士・会計事務所を紹介します。

<日系企業におすすめの税理士・会計事務所5選>

  1. IHZA INTEGRATED CONSULTING(ローカル)
  2. ASAHI NETWORKS INDONESIA(日系)
  3. Phoenix Strategy Indonesia(日系)
  4. SAKURA MITRA PERDANA(日系)
  5. Lets Move Indonesia(ローカル)

なかでもおすすめなのが、「IHZA INTEGRATED CONSULTING」です。
インドネシア進出を検討中、またはすでに進出している日系企業向けにコンサルティングサービスを提供しており、税務課題の解決力に定評があります。

それぞれの税理士・会計事務所の特徴は下記記事で詳しく解説しています。合わせてご確認ください。


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