インドネシアワークス TOP 「インドネシア進出の基礎知識」に関する記事一覧 【2024年版】「インドネシア進出」の基礎知識 【業界別】日本企業がインドネシア進出に失敗・撤退した事例|失敗の内容とその理由

【業界別】日本企業がインドネシア進出に失敗・撤退した事例|失敗の内容とその理由

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本記事ではインドネシア進出におけるよくある失敗事例、失敗の理由について具体的に紹介します。

また、インドネシアへ進出するための基礎知識や具体的な始め方、重要なマクロデータについては、下記記事で詳しく解説しています。あわせてご確認ください。


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1. 販路開拓の失敗事例

インドネシア進出を図る多くの日本企業が直面する問題の一つが、効果的な販売チャネルの確保です。
安定した販売網を構築できないと、売上が伸び悩み経済的損失を被ることになります。

特に日本国内で大きな成功を収めている企業は、インドネシア市場での販路開拓の難易度を過小評価しているケースが散見されます。

<業界ごとの「販路開拓」の失敗事例>
項目 内容
製造業界の場合 高品質・高価格をウリとする日本の製造業は、コストを重視するインドネシア市場での受け入れが難しい場合があります。
製品が現地の消費者ニーズや価格帯と合致していないことから、代理店や問屋に取り扱いを渋られるケースは多々あります。
テクノロジー・
IT業界の場合
技術進歩が速く、地域によって受け入れられるテクノロジーの種類が異なるため、日本での成功モデルがそのまま通用しないことがあります。
また、現地のITインフラやユーザーのデジタルリテラシーを過小評価することも失敗の要因となります。
食品業界の場合 食文化の違いが大きく、日本の食品がインドネシア市場で必ずしも受け入れられるとは限りません。
現地の味覚や食習慣を十分にリサーチせずに市場進出を試みると、販路開拓が思うように進まないことがあります。
小売業界の場合 物流や流通チャネルの違いへの順応やブランド構築に手間取り、販路開拓に苦労することが多いです。
販路開拓には現地の小売市場の特性や消費者の購買行動の理解が必須です。

1-1. 販路開拓に失敗してしまう主な理由

「販路開拓」に失敗してしまう主な理由は、以下のとおりです。

  • 日本との「ニーズの違い」に対応できない
  • 「商習慣の違い」に対応できない
  • 現地のパートナー企業と「上手に関係構築」できない

それぞれについて解説します。

1-1-1.日本との「ニーズの違い」に対応できない

日本で確固たる地位を築いた企業でも、インドネシアでは市場の特性や消費者のニーズが異なるため、ゼロからのスタートを余儀なくされます。

日本製品の特徴である「高品質」「高機能」「高価格」が必ずしも受け入れられるわけではないので、地域特性に対応できず撤退する例は枚挙にいとまがありません。

1-1-2.「商習慣の違い」に対応できない

日本とインドネシアのビジネス習慣の違いは、販路開拓において大きな障壁となり得ます。
この違いを理解し、適応する事が出来ずに失敗する企業が多数あります。

1-1-3.現地のパートナー企業と「上手に関係構築」できない

インドネシアに進出する際には、現地パートナー企業との関係構築も重要です。
しかし、進出を決定した後にパートナー企業が協力を拒否して失敗するケースも多数あります。

拒否した場合の「代替手段」も含めて、複数の選択肢の確保は必須です。

1-2.販路開拓に成功するためのコツ

<成功するためのコツ>

  • 市場の特性やビジネス習慣の違い十分に分析し、「郷に入らば郷に従う」覚悟を決めて挑む事
  • パートナー企業の選定に労力を惜しまない事

現地のビジネス慣習に深く理解し適応しつつ、お互いにしっかり利害が一致する、信頼できるパートナーを見つけることがコツと言えるでしょう。

2. 労務管理・人材育成の失敗事例

インドネシアへの進出を試みる多くの日本企業にとって、人材の確保と育成は大きな課題です。
海外での労務管理や人材育成のアプローチが日本とは根本的に異なるため、失敗する企業が少なくありません。

<業界ごとの「労務管理・人材育成」の失敗事例>
項目 内容
建設業界の場合 大規模なインフラや建築プロジェクトにおいては、現地の法令や安全基準に準じた労働力の管理が必須です。
現地での労働者とのコミュニケーションや、適正な労務管理が実施できるマネージャーの確保ができなかった結果、プロジェクトの進行に大きな遅延が出る等の事例もあります。
製造業界の場合 大規模な労働力を必要とするため、現地の労働環境や文化の理解が深く求められます。
正しい理解がないと「労働者が定着しない」「技術習得が低い」など操業が不安定になる事例が多数あります。
サービス業界の場合 特にホスピタリティ業界や小売業界で、顧客満足を直接左右する従業員の接客スキルやサービスマインドが重視されます。
文化的背景に基づく顧客の期待を理解し、それに応える人材の育成が求められるため、人材育成に失敗するとそのまま事業の成果に直結してしまいます。
テクノロジー・
IT業界の場合
高度な技術知識とともに、グローバルなプロジェクトでのコミュニケーション能力を持った人材をリーダーとして育成するなり、本国より派遣するなりの必要があります。
技術的なスキルのみでメンバーアサインをしてしまうと、多様な文化背景を持つチームメンバー間で軋轢が生まれる事例も散見されます。

2-1.労務管理・人材育成に失敗してしまう主な理由

「労務管理」や「人材育成」に失敗してしまう主な理由は、以下のとおりです。

  • 適切なコミュニケーションがとれていない
  • 現地採用のマネジメントメンバーに価値観を浸透できない

それぞれについて解説します。

2-1-1.適切なコミュニケーションがとれていない

現地スタッフとの適切なコミュニケーションがとれていないと、業務が円滑に進まないだけでなく、横領や不正、汚職などのコンプライアンスに関する問題が発生しやすくなります。

また人事職に外国人が就けないため、人事職との信頼関係が築けていないと業務内容が不透明になりがちで、労務管理や人材育成での失敗につながることがあります。

2-1-2.現地採用のマネジメントメンバーに価値観を浸透できない

現地採用のマネジメントメンバーに対して企業文化や価値観を十分に浸透できないケースがあります。

現地採用のマネジメントメンバーに任せることはとても重要ですが、企業文化や価値観を正しく共有できてないと大きな齟齬が生まれてしまいます。

2-2.労務・人材育成に成功するためのコツ

<成功するためのコツ>

  • 現地の文化や労働環境を深く理解したうえで、適切なコミュニケーションを築いて信頼関係を構築していく事

インドネシア進出で成功するためには、現地の人材と日本から派遣された人材が密接に協力し合い、文化や言語、労働法などの多様性を考慮しながら、相互理解を深めて事業を展開する必要があります。

下記記事ではインドネシアの人事労務について解説しています。あわせてご確認ください。


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3. 市場調査・競合分析の失敗事例

インドネシア市場への進出を考える企業にとって、市場調査と競合情報の収集は極めて重要です。
多くの企業が充分な準備や正確な市場理解がなく進出を試み、失敗に至るケースが後を絶ちません。

<業界ごとの「市場調査・競合分析」の失敗事例>
項目 内容
消費財業界の場合 このセクターはインドネシアで非常に競争が激しく、地元ブランドが消費者のニーズをよく理解して高いシェアを獲得しているため、外国企業による市場参入の難易度はとても高いです。
徹底的な市場調査を行わずに進出すると、地場企業の牙城を崩せずに撤退してしまう事例もあります。
技術・
通信業界の場合
ある意味日本よりも進んでいる点も多くありながら、インフラが脆弱であったりと、IT業界を取り巻く前提条件が諸々異なります。
日本で上手くいったサービスがそのまま受け入れられる事は滅多にありません。
進出したものの、顧客が日系企業に限定されてしまってビジネスが広がらないという事例が数多あります。
小売・
Eコマース業界の場合
インドネシアの小売市場は伝統的な市場や商店、近代的なショッピングモール、ECサイトが混在しており、非常に競争が激しいです。
外国企業は地元消費者の購買行動や好みを正確に理解して現地ニーズに沿った付加価値を提供しないと、想定した成果を上げられずに撤退を余儀なくされます。

3-1.市場調査・競合分析に失敗してしまう主な理由

「市場調査」や「競合分析」に失敗してしまう主な理由は、以下のとおりです。

  • 過度な自信を持って十分な市場分析を行わない
  • 地元の企業を軽視している

それぞれについて解説します。

3-1-1.過度な自信を持って十分な市場分析を行わない

日本での成功体験によって自社の商品やサービスに過度な自信を持ちすぎているため、十分な市場調査や競合分析を行わないケースも見受けられます。

進出を検討しているセグメントが、既に地元企業や他の外資系企業によって飽和状態にあるかもしれません。
また、インドネシア独自の文化や消費者行動を理解していない場合、市場ニーズを見誤ることがあります。

3-1-2.地元の企業を軽視している

インドネシア市場では大手外資系企業だけでなく、地元の強力な企業とも競争する必要があります。
地場企業は現地ニーズや商習慣を深く理解しており、外資系企業にとって大きな障壁となることも少なくありません。

3-2.市場調査・競合分析に成功するためのコツ

<成功するためのコツ>

  • 現地の実情を十分に反映した市場調査を行い、競合のビジネスモデルや市場シェア、強みと弱みを詳細に分析する事

インドネシアは高い経済成長と大きな市場ポテンシャルを持つ一方で、インドネシアの地場企業や外資企業がしのぎを削っています。
適切な市場調査と戦略的な準備によって、インドネシア市場での成功の可能性を大きく高めることが可能です。

インドネシア市場に未進出の企業にとって、正確な市場調査や競合分析を行うことは非常に困難です。そのため、現地コンサルティング会社等を利用することも有効な手段といえます。

下記記事ではインドネシアでの市場調査について詳しく解説しています。あわせてご確認ください。

4. インドネシア進出の失敗・撤退事例

インドネシア進出に失敗して撤退した企業の事例を3つ紹介します。
実際の関係者や企業名が特定されないように、事実を一部改変して翻案した内容でまとめています。

  • 化学メーカーのA社
  • 飲食業のG社
  • 動画配信サービスのK社

また、日本企業のインドネシア進出の成功事例は下記記事で紹介しています。あわせてご確認ください。

4-1.化学メーカーのA社の失敗・撤退事例

現地従業員の採用や人材育成がうまく行かずに、インドネシアから撤退したA社の事例です。
A社は2000年代にインドネシア工場を稼働させるために、現地企業と合弁会社を設立しました。

4-1-1.失敗内容

技術指導による現地従業員のスキルアップを前提に工場の稼働を想定していましたが、従業員の熟練度や成長度が想定よりも低かったため、工場の操業が非常に不安定でした。
結果、設立からわずか4年で事業からの撤退を決定しました。

4-1-2.失敗・撤退した理由

現地従業員の育成は、想像以上に難しいと思っておいた方が良いでしょう。

「マニュアルに沿って教育するだけで十分」と考えがちですが、海外では価値観や教育背景により向上心や理解力など個人差が大きいです。
そのため、日本人なら1年で一定レベルまでスキルが身につくところを、インドネシアでは数年かかるケースがあります。

また、日本人管理者と現地従業員間のコミュニケーションが不足していると、スキルの成熟度はもちろん、モチベーションにも悪影響を及ぼす可能性があります。

4-2.飲食業のG社の失敗・撤退事例

日本で成功した「味」に固執しすぎた結果、インドネシア市場から撤退したG社の事例です。

G社はすでに他の地域への海外進出を行っており、インドネシアは3か国目の進出先として2010年代に1号店を出店させました。

4-2-1.失敗の内容

進出当初、5年以内に50店舗の出店を目指しましたが、実際には3店舗のみの開設に留まり、進出後の翌年には全店を閉店して撤退しました。

すでに日本の競合他社がインドネシア市場に参入しており、G社は後発としての挑戦となったため、ローカルの飲食店や日本の競合他社から市場シェアを奪うことができませんでした。

4-2-2.失敗・撤退した理由

G社は国内で多くのファンを持ち、自社の味には高い自信を持っていました。

徹底した市場調査を行わずに「海外でも需要があるはず」といった過信が、インドネシアで成功できなかった最大の理由です。
競合他社は現地の味覚に合わせたローカライズ化を行っており、自社のこだわりと現地のニーズをバランス良く調整しないと、インドネシア市場での成功は難しいです。

結果的にG社はインドネシアだけでなく他の2か国でも店舗を閉店し、海外事業からの撤退を余儀なくされました。

4-3.動画配信サービスのK社の失敗・撤退事例

会員数が想定より伸びなかったことで、動画配信サービスを停止したK社の事例です。

日本国内の高品質なコンテンツを提供するため、日本の複数の企業が出資して海外向けの動画配信事業を始めました。
このサービスはインドネシアを含む世界各地で展開し、海外資本の動画配信サービスやインターネット上の違法動画に対抗する狙いがありました。

4-3-1.失敗の内容

会員数が少ないことを懸念した参加企業が人気コンテンツの提供を見送ったため、「魅力的なコンテンツがないから会員数が増えない」という悪循環に陥りました

その結果、サービス開始から4年後に動画配信サイトは閉鎖されました。

4-3-2.失敗・撤退した理由

失敗の理由は大きく2つあります。

1つは海外資本の大手動画配信プラットフォームとの競争に勝てなかったことです。
Amazon Prime VideoやNetflix、Huluなど、世界的に人気のあるコンテンツを配信する大手サービスがユーザーを獲得していく中、K社サービスのコンテンツ競争力の低さがユーザー数の伸び悩みにつながりました。

もう1つの理由は東南アジアにおいて違法動画が横行しており、課金して動画を視聴する文化が未成熟だったことも挙げられます。

動画配信サービスに限らず、高品質のサービスを提供すれば必ずしも受け入れられるわけではありません。
現地事情やニーズに即していることが大切です。


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よくあるご質問

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