本記事ではインドネシア進出を検討している方向けにインドネシアでの「市場調査」や「実行可能性調査(F/S)」の必要性や方法について分かりやすく解説しています。
インドネシア進出の流れや手順については下記記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。
1.海外進出前の「市場調査」「実行可能性調査(F/S)」について
インドネシアに限らず海外進出する際には、国内で行う以上に「市場調査」や「実行可能性調査(F/S)」が必要です。
実行可能性調査はフィジビリティスタディ(F/S)とも呼ばれ、
海外では法律や慣習、消費者の嗜好が異なるので事前に「市場調査」や「実行可能性調査(F/S)」を行わないと、大きな損失を出したり、撤退を余儀なくされたりすることもあります。
「さまざまなリスクを避ける」と「適切なマーケティング戦略を立てる」ために、しっかりと「市場調査」や「実行可能性調査(F/S)」を行うことが重要です。
1-1. 「市場調査」「実行可能性調査(F/S)」の取り組み方は大きく3つ
インドネシアで「市場調査」「実行可能性調査(F/S)」を行うには、大きく3パターンの取り組み方があります。
- 自社で調査する
- 支援機関を利用する
- 専門のコンサルティング会社を利用する
それぞれについて解説します。
1-1-1.自社で行う
コストをかけずに行いたい場合は「自社で行う」がおすすめです。
実際に現地に足を運び、想定される顧客のニーズや人気商品の傾向、治安、経済状況などを自分の目で確認していきます。
ただし、インドネシアに伝手がなかったり、現地の実情を深く理解していなかったりすると、表面的な情報しか得られず、精度の高い調査とはいえないかもしれません。
1-1-2.支援機関・団体を利用する
「支援機関・団体を利用する」方法もあります。
インドネシア進出を支援する機関・団体には、JETRO(日本貿易振興機構)、中小企業基盤整備機構、商工会議所、地方自治体などがあり、支援機関・団体を利用することで自社調査よりも精度の高い調査が可能になります。
また、インドネシア進出支援のためのオンライン相談の受付や、セミナー、研修、情報提供を積極的に行っており、民間と比べて低価格で利用しやすいのも魅力です。
1-1-3.専門のコンサルティング会社を利用する
最もおすすめなのが、海外進出を支援する専門のコンサルティング会社に依頼する方法です。
専門のコンサルティング会社に依頼すると
- 社内のリソースを使用しなくてよい
- 調査の手間を省ける
- インドネシアに行く必要ない
といったメリットがあります。
コストはかかりますが、法律や慣習、消費者の嗜好、競合他社など現地事情に即した精度の高い情報を集めることができ、より効果的に海外マーケティングを行うことが可能です。
インドネシアでの「市場調査」「実行可能性調査(F/S)」を得意とするコンサルティング会社を、下記記事で詳しく解説しています。あわせてご確認ください。
1-2.インドネシアでの「市場調査」「実行可能性調査(F/S)」にかかる費用相場
インドネシアの「市場調査」「実行可能性調査(F/S)」にかかる費用相場は、
調査内容によって費用が異なります。
自社で行う場合、調査を行う人件費や渡航費などの実費だけで済むでしょう。
ただし、自社調査のみでインドネシア進出に必要な情報を十分手に入れるのは大変困難ですし、手に入れた情報を精査する材料が乏しければ、その情報が正確なものか判断できません。またインドネシアでは予告なしに法令が変更されることも珍しくないため、法律や規制の調査もきちんと行う必要があります。
そのため、インドネシアに進出する日本企業の多くは、経験が豊富な専門のコンサルティング会社に依頼するのが一般的です。
2. 「市場調査」「実行可能性調査(F/S)」事項 一覧
具体的に「市場調査」や「実行可能性調査(F/S)」として、以下のようなことを行います。
- 文献調査(デスクトップリサーチ)をする
- 進出プランの調査・分析する
- インドネシアで現地調査を行う
- SNS調査を行う
- 商品のテスト販売をする
- フォーカスグループインタビュー(座談会)を行う
- 海外雇用代行を利用してパイロットプロジェクトを行う
それぞれについて解説します
2-1.【市場調査】文献調査(デスクトップリサーチ)をする
インドネシア進出の検討期では最初に文献調査(デスクトップリサーチ)を行いましょう。文献調査(デスクトップリサーチ)とはインターネットや書籍、資料などから、現地の商習慣などの情報を集める方法です。
文献調査(デスクトップリサーチ)の際は以下のポイントを意識してみてください。
- インドネシアの習慣や宗教、文化に関する基礎的な理解
- 商習慣や法律、規制に関する事(人件費や法律、行政手続きの難易度 等)
- メリットやリスクについてのイメージ
現地の宗教・習慣から、お金絡みの事や法律、進出のメリット・リスクが自分なりにイメージできるところまで情報収集できると、その後の具体的な進出計画の策定がスムーズになるはずです。
ただし、インターネット上の情報は内容に誤りがある場合や、最新のデータではない場合もあります。調査したデータを使用する際には、出典元や調査時期を確認しましょう。
インドネシア進出の基礎知識やマクロデータ、一般常識等について詳しく知りたい方は下記記事をご確認ください。
2-2.【市場調査】進出プランの調査・分析する
インドネシアの基本情報の把握が完了したら、進出プランの調査・分析を行います。
進出プランで調査・分析すべきことは次のとおりです。
- 市場の調査・分析をする
- 消費者の調査・分析をする
- 競合の調査・分析をする
- 法規制の調査・分析をする
- アライアンス候補先を調査・分析する
それぞれについて解説します。
ただし、インドネシア進出をより具体的にイメージするため、成功・失敗事例や売上や利益の実データといった「文献調査(デスクトップリサーチ)では集められないリアルな情報」が必要になります。
したがって、「進出プランの調査・分析する」段階以降は「進出コンサルティング会社」に依頼した方が、海外進出への準備をスムーズに進めることができるでしょう。
2-2-1.市場の調査・分析をする
インドネシア政府や企業、専門機関などが公表するデータから市場を分析する方法もありますし、販売・購買に関する各種データを提供する民間のサービスを利用しても良いでしょう。
上記データを「同一カテゴリにおける日本国内の市場と比較した場合」や「現地における類似カテゴリーと比較した場合」といった観点から分析し、市場規模を把握します。
また国が発表している統計データを使って景気の動向や政治状況を併せて調査しておくことも重要です。
2-2-2.消費者の調査・分析をする
消費者のニーズを調査・分析する理由は、
消費者の調査・分析を行うことでイメージの乖離を修正し、現地での顧客ニーズに合った製品やサービスの提供が可能になります。
2-2-3.競合の調査・分析をする
競合他社の調査・分析では
例えば、競合他社の市場シェアや製品ラインナップ、販売チャネルが分かれば、現地の顧客傾向を把握し、ターゲットを絞り込むことができます。
また、競合の商品の販売方法や生産体制・取引先の状況を知ることで、自社のマーケティング戦略をより精密に立てることができるでしょう。
2-2-4.法規制の調査・分析をする
インドネシアに進出する際は、法規制の調査と分析がとても重要です。理由としては「インドネシアの法規制はとても複雑」だからです。
- 法や規制が多数存在している
- A機関の規制では違法なことが、B庁の法律では適法になるなどの矛盾がある
- 法律が頻繁に変わり、詳細が公開されないまま施行される
そのため、事業やサービスが現地の法規制に適合しているか確認するのが難しいです。進出を検討する際は専門家の助けを借りて、法規制の調査と分析をしっかり行うことをおすすめします。
2-2-5.アライアンス候補先を調査・分析する
アライアンス(提携先)の候補先の調査・分析は「インドネシアでの事業展開が成功するかどうかの重要なポイント」であるため、特に慎重に調査・分析する必要があります。
アライアンスを選ぶ際は、以下のポイントを重視して検討することをおすすめします。
- お金や情報をやり取りする相手として信頼できるか
- 円滑にコミュニケーションを図れるか
- 国際業務に慣れているか
インドネシアでは人間同士や会社同士の相互信頼をビジネスの基盤として重視する文化があるため、お互いに「信頼できるか」を見極めるのに一定の期間がかかります。
したがって、アライアンス先を見つけるにはある程度の時間がかかることを想定しておきましょう。
また、進出プランを検討する段階では、アライアンス候補を見極める時間がない場合も多いため、実績豊富な進出コンサルタント会社に相談するのも一つの方法です。
2-3.【市場調査】インドネシアで現地調査を行う
インドネシア進出で市場調査を行う際は、日本国内で調査や分析をするだけでなく、インドネシアでの現地調査を行いましょう。現地の情報はインターネットやテレビ・書籍などから得られますが、実際に行って直接見てみないと分からないことが山ほどあるためです。
現地調査の際に行うべき事の例は、以下のとおりです。
- 消費者の文化や嗜好、消費傾向の把握する
- 生活環境の把握する(赴任時の住居等の目星)
- 現場の実態の把握する(生産現場、消費の現場 等)
- 現地に居住する有識者・専門家等との面談・ヒアリングをする
- 想定する提携先・取引先との会食する(信頼関係の醸成)
現地の理解を深めるためにも、積極的に現地調査を行いましょう。
現地に居住する専門家・有識者等との面談・ヒアリングをする
なかでも現地の有識者や同業者、専門家へのヒアリングは非常に有効な手段です。
現地の有識者や同業者、専門家の方々に話を聞くことで、
ただし、適切なヒアリング相手を見つけるのは容易ではなく、業界に詳しい人物を特定し、調査協力のアポイントを取らなければなりません。
インドネシアに特別な伝手がない場合は、現地のコンサルティング会社などに協力を依頼すると良いでしょう。
2-4.【F/S】SNS調査を行う
SNS調査を実施することで市場の動向を素早く把握し、進出戦略に反映させることができます。
また、SNSを通じて競合他社の動向を知り、マーケティングキャンペーンや新製品の発表などの情報を収集し、迅速に対応することも可能です。
インドネシアでは
- TikTok
- YouTube
の利用が多く、日本のようにX(旧Twitter)の利用頻度は高くありません。
そのため、現地の事情に合ったSNS調査が必要です。
デメリットとしては「対象者の属性が把握しづらい」「必要な情報を直接確認できない」といった点が挙げられます。
2-5.【F/S】商品のテスト販売をする
商品のテスト販売をすることで「自社製品やサービスが進出先で受け入れられるかどうか」を確認できます。
テスト販売は主に以下の方法で行われます。
- イベントやフェアでの「催事出店」
- 小売店での「店頭販売」
- オンライン販売業者と協力して行う「EC販売」
SNSやオンラインでテストマーケティングができますが、消費者の声や商品への興味や不満などは、実際に話してみないとわかりません。
インドネシアでの商品の販売を検討している場合は、テスト販売を行ったうえで「進出計画を立てること」をおすすめします。
2-6.【F/S】フォーカスグループインタビュー(座談会)を行う
フォーカスグループインタビューは、性別や年代などの異なる属性を持つ人々を少人数のグループに分けて行う座談会形式の調査です。
モデレーターと呼ばれる進行役がテーマに沿った質問を投げかけ、さまざまな意見や感想を集めます。
メリットとしては、
- 1対1のインタビューよりも多様な意見や視点を効率的に収集できる
- 異なる属性のグループごとにインタビューを行うことで、各グループの意識や評価の違いも把握できる
点が挙げられます。
フォーカスグループインタビューを行うことで、製品やサービスの評価、市場の傾向、消費者のニーズなど幅広い情報を得ることができ、戦略的な意思決定に役立ちます。
2-7.【F/S】海外雇用代行を利用してパイロットプロジェクトを行う
パイロットプロジェクトを実施することで、より現実に近い形で実行可能性を調査でき、ビジネスの成功率を高めるための戦略的な判断がしやすくなります。
なお、インドネシアでパイロットプロジェクトを行う際には、
海外雇用代行とは、現地に法人や事務所を設立せずに、現地での雇用を外部に委託するサービスのことです。
海外雇用代行を利用することで、低コストで迅速にインドネシアでのパイロットプロジェクトや事業展開の準備を進めることができます。
海外雇用代行については下記記事で詳しく解説しています。あわせてご確認ください。
3.市場調査・実行可能性調査(F/S)が終わったあとにやるべきこと
市場調査や実行可能性調査(F/S)が終わったら、分析した内容を元に事業計画を作成しましょう。
事業計画書には次のような内容を記載します。
- 新規事業の目的、ビジョン
- 事業内容
- インドネシア進出を決めた理由
- インドネシアの概要
- 進出地域の市場と消費者の分析結果
- 競合他社の情報
- 予算と収益見込み
- 目標達成までのロードマップ(短期・長期)
- 考えられるリスクと回避方法
事業計画は調査と分析から得た正確な情報に基づき、客観的に作成することが重要です。
事業の内容や目的、収益予測を明確に示すためです。
特に海外進出時には資金調達が必要になることが多いため、曖昧な情報を避け、決裁者を納得させる計画を立てる必要があります。
インドネシア進出を検討している場合は、進出支援を行うコンサルティング会社に相談するとよいでしょう。市場調査から事業計画の作成、進出決定後の会社設立の支援まで安心して任せられることができます。
下記記事ではインドネシア進出の総合的な支援を得意とするおすすめのコンサルティング会社を紹介しています。あわせてご確認ください。
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