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日系企業がインドネシア進出するデメリット・リスク一覧|進出前に知っておくべきポイントを解説

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日系企業がインドネシア進出するデメリット・リスク一覧|進出前に知っておくべきポイントを解説

本記事では、日系企業がインドネシアに進出する際のデメリット・リスクについて解説します。
想定されるデメリット・リスクは以下のとおりです。

<インドネシア進出のデメリット・リスク 一覧>

  • 「法規制の内容」や「執行基準」が曖昧である
  • なじみのない「労働規制」が多い
  • 「コンプライアンス意識」が高くない
  • 「マクロ環境」の変化が激しい
  • 「文化的な相違」が大きい
  • 「インフラが脆弱」である

それぞれについて解説します。
インドネシア進出するための基礎知識やメリットについては下記記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。

1.「法規制の内容」や「執行基準」が曖昧である

インドネシアでは法規制の内容や執行基準が曖昧なため、

事業がリスクにさらされやすい

ことが「デメリット・リスク」の一つです。

具体的には以下のような状況が発生します。

  • 法や規制が多数存在し、矛盾しているケースも多い
  • 施行された法律も頻繁に変わることが多い
  • 理解が難しく、役所の担当者によって回答が異なることもある

それぞれについて解説します。

1-1.法や規制が多数存在し、矛盾しているケースも多い

ある一つのことに対して、関連する法律や規制が「中央政府、地方政府、関連機関」それぞれに別々に存在し、施行されていることがあります。

結果、矛盾した法令も多く、A機関では違法なことがB庁では適法になるといったことはよくある話で、知らないうちに法令違反を犯してしまうことも稀ではありません。

2022年7月2日のインドネシア法務人権省の統計によると、インドネシアには憲法や法律、緊急政令、政令、大統領令、大臣令、地方条例などを合計すると4万2,256件の法令が存在します。

中央政府の法律だけで約2万6,000件の法令があり、さらに毎年約2,000から2,500件の新たな法律、政令、大統領令、大臣令が制定され、法や規制が増え続けているのが現状です。

1-2.施行された法律も頻繁に変わることが多い

インドネシアの法規制は複雑なことに加え、施行された法律も頻繁に変わることが多いです。
また、施行された法律の詳細が開示されず誰も内容を把握できないまま執行されるなど、日本では考えにくい事態も発生しています。

1-3.理解が難しく、役所の担当者によって回答が異なることもある

インドネシアでは事前の告知なしに法令が変更されることが多いため、役所の担当者でさえ複雑な法規制や変更内容を理解していないケースがあります。

そのため、法令の受け取り方が役所の担当者によって異なり、同じ質問でも担当者によって回答が違うという現象も頻発します。


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2.なじみのない「労働規制」が多い

インドネシアにはなじみのない「労働規制」が多いため、

さまざまな対応に労力やコストがかかる

ことが「デメリット・リスク」の一つです。

具体的には以下のような状況が発生します。

  • 退職時の金銭補償は、日本以上に手厚くする必要がある
  • 外国人が就けない特定の職種が指定されている

それぞれについて解説します。

2-1. 退職時の金銭補償は、日本以上に手厚くする必要がある

インドネシアの労働法では「退職手当」「勤続慰労金」「権利損失補償金」「解雇金」と4種類の退職金の支払いが義務づけられています。

「退職手当」と「勤続慰労金」は勤務年数に応じて増額されるため、日本の退職金制度よりも企業側の負担が大きくなります。

加えて、インドネシアでは正社員を解雇することが難しいため、採用時には慎重な検討が必要です。

2-2. 外国人が就けない特定の職種が指定されている

インドネシアでは日本人が人事担当の取締役に就任したり、「人事に関する業務(リクルート関連業務等)」を担当したりすることはできません。

したがって、現地のインドネシア人を雇用する必要がありますが、優秀な人材の採用・確保に困る事もあります。

3.「コンプライアンス意識」が高くない

インドネシアは日本よりも「コンプライアンス意識」が高くないため、

コンプライアンス上の問題が発生しやすい

ことが「デメリット・リスク」の一つです。

具体的には以下のような状況が発生します。

  • 横領、不正などの問題が発生しやすい
  • 汚職と贈収賄の慣行が根強く残っている

それぞれについて解説します。

3-1. 横領、不正などの問題が発生しやすい

インドネシアでは、経理担当者による横領や営業担当者による売上代金の着服など、さまざまな不正行為が発生しやすいです。

ローカル担当者を全面的に信頼して任せるのではなく、定期的な確認などコンプライアンスの管理が不可欠です。

3-2. 汚職と贈収賄の慣行が根強く残っている

インドネシアでは長年にわたって汚職や贈収賄の慣行が続いています。
インドネシア政府が対策を進めているものの、行政手続きで金品を要求されることも稀にあり、コンプライアンス意識が低いのが現状です。

企業活動において汚職や贈収賄のリスクを未然に防ぐためにも、契約書に贈収賄防止条項を盛り込むことなどの対策が必要です。


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4.「マクロ環境」の変化が激しい

インドネシアは外的要因によるマクロ環境の変化が激しく、

マクロ環境の変化への対応が難しい

ことが「デメリット・リスク」の一つです。

具体的には以下のような状況が発生します。

  • 予想以上のコストが発生する可能性がある
  • ビジネスに影響を与える変動が起こる可能性がある

それぞれについて解説します。

4-1.予想以上のコストが発生する可能性がある

インドネシアの経済成長にともない、予想以上にコストが増加する恐れがあります。

例えば最低賃金は毎年更新されており、ジャカルタでは2010年代に最低賃金が二桁の上昇率を見せたことがありました。
2020年代に入ってからは昇給率が3%〜5%とやや落ち着きましたが、今後も突発的な大幅な最低賃金の上昇リスクがあります。

インドネシアの経済は今後も成長が期待されますが、予想外のコスト増で経営が厳しくならないよう、資金に余裕を持ち、最低賃金の引き上げや労働法の改正に備えることが重要です。

4-2. ビジネスに影響を与える変動が起こる可能性がある

インドネシアの経済は今後も成長が期待できる一方で、政治状況の不透明感や為替変動等、ビジネスに影響を与えうる変動も起こりやすいです。

例えば、インドネシアではジャカルタからカリマンタン島の「ヌサンタラ」への首都移転計画が進行中です。
2045年までの完全移転を目指しており、政治・経済のジャカルタ一極集中から、政治機能が物理的に分断されるため、経済の鈍化につながることが懸念されています。

また、「国内産業の保護・育成」の観点からも、突発的に外資規制が強化される可能性も否定できません。

5.「文化的な相違」が大きい

日本とインドネシアの「文化的な相違」が大きいため、

その対応に労力やコストがかかる

ことが「デメリット・リスク」の一つです。

具体的には以下のような状況が発生します。

  • 「時間」の感覚がルーズである
  • イスラム教では仕事よりも宗教行事が優先される

それぞれについて解説します。

5-1.「時間」の感覚がルーズである

インドネシアでは「時間を守らないのが当たり前の文化」です。
「Jam Karet」という言葉があり、「時間はゴムのように伸びる」という意味で、インドネシア人にはよく使われています。
時間に対する意識が日本とは異なり、時間を守ることにはあまりこだわりがありません。

ただし、終業時間はしっかり守ることが多いです。

5-2.イスラム教では仕事よりも宗教行事が優先される

インドネシアでは公的に認められたいずれかの宗教を信仰することが義務付けられています。
特に人口の9割弱が信仰するイスラム教では、仕事よりも宗教が優先されます。

例えばイスラム教徒は1日に5回の礼拝を行い、仕事中でも礼拝を妨げることはできません。
また、ラマダンという約1か月の断食期間があり、日の出から日没まで食事を控えます。
そのため日中の集中力が低下し、仕事の生産性が落ちることがあります。

6.「インフラが脆弱」である

インドネシアではインフラが脆弱なため、

「時間的なロス」の発生が多くなる

ことが「デメリット・リスク」の一つです。

具体的には以下のような状況が発生します。

  • 基本的なインフラ整備が遅れている
  • ジャカルタは慢性的に渋滞している

それぞれについて解説します。

6-1. 基本的なインフラ整備が遅れている

インドネシアの電力は急激な経済発展によって国全体としての需給が逼迫しているため、首都ジャカルタ以外の地域では停電が頻発しているのが現状です。

また、交通インフラに関しては、ジャカルタやジャワ島の一部主要都市間で高速道路が開通しているものの、一般道は舗装されていないことが多いです。

停電や移動に時間がかかることによって、随所で時間的なロスが発生することになります。

6-2. ジャカルタは慢性的に渋滞している

インドネシアは交通渋滞が深刻な国として知られており、特に首都ジャカルタ周辺では渋滞が慢性化しています。

渋滞の原因としては交通インフラが整っていない点に加え、公共交通機関の利用率の低さや自家用車の増加が挙げられます。

商談などではオンライン会議を活用し、車での移動を避けるのが無難です。


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