日本国籍の方がインドネシアに入国する際、
滞在日数や入国目的を問わず、必ずビザ(査証)が必要です(2024年10月現在)。
本記事では、インドネシアのビザについて分かりやすく解説しています。
1.インドネシアのビザ(査証)の種類 一覧
インドネシアのビザ(査証)の種類は以下のとおりです。
なかでも、日本国籍の方が最も取得しやすく、利用頻度が高いのは「インデックスB・到着ビザ」です。
30日以内の旅行や商用目的で多く利用されています。
ビザインデックス | ビザの名称 | 入国目的、国籍等 | 入出国の回数 |
---|---|---|---|
インデックスA | ― (ビザ免除) |
30日以内の観光・家族訪問・会議商談など。 国籍がASEAN加盟国の方はビザ免除。 (日本国籍は対象外) |
1回のみ (シングル) |
インデックスB | 到着ビザ | 30日以内の観光・家族訪問・会議商談など。 | 1回のみ (シングル) |
インデックスC | 一時訪問ビザ | 60日以内の観光・家族訪問・会議商談など。 | 1回のみ (シングル) |
インデックスD | 数次訪問ビザ | 60日以内の観光・家族訪問・会議商談など。 | 期間内、複数回可能 (マルチプル) |
インデックスE | 一時滞在ビザ | 就労目的・インドネシア国籍者の配偶者など。 | 期間内、複数回可能 (マルチプル) |
インドネシアのビザ(査証)は上記のように「滞在日数」や「入国目的」、「国籍」等によって取得すべき種類が異なります。
加えて、各インデックスの中でも入国目的等によって「C1」「C2」「C3」と細かく分類されているので、とても複雑です。
本記事では、一般的によく使われる「到着ビザ」から就労するのに必要な「一時滞在ビザ」まで、それぞれのビザの申請・取得方法について解説します。
2.「インデックスB・到着ビザ」の申請・取得方法について
日本国籍の方がもっとも多く利用しているのは、「インデックスB・到着ビザ」です。
30日以内の観光・家族訪問・会議商談などを目的として入国する際に取得します。
なお、到着ビザは取得方法により名称が異なり、
- 空港で取得した到着ビザの場合:「VOA(Visa on Arrival)」
- オンラインで取得した到着ビザの場合:「e-VOA:Electronic Visa on Arrival」
と呼ばれます。
空港での案内板等に「VOA」や「e-VOA」と記載されていることが多いので覚えておきましょう。
項目 | 詳細 |
---|---|
申請・取得方法 |
|
分類と入国目的 |
|
費用 | 50万ルピア(約4,750円) |
入出国の回数 | 1回のみ |
滞在期間 | 30日間 ※1回のみ延長が可能(滞在期間内に手続きが必要) |
対応空港 |
|
参考:在インドネシア日本国大使館|インドネシアへの入国・滞在
参考:外務省|外務省海外安全情報「インドネシア」
滞在期間は30日間ですが、それ以上滞在したい場合は一度だけ延長が可能です。
その場合、ビザが切れる7〜14日前までに入国管理局事務所で申請すればもう30日間、最大で60日間滞在できます。
2-1.インドネシア到着時に到着ビザ(VOA)を申請・取得する
到着ビザ(VOA)をインドネシア到着後の空港で申請して取得する方法を解説します。
2-1-1.申請時に必要なもの
到着ビザ(VOA)の申請時に必要なものは以下のとおりです。
- パスポート(パスポートの残存有効期間が6か月以上・査証欄が2ページ以上空白)
- 復路の航空券又は第三国への航空券
- 50万ルピア(50万ルピア相当の米ドルや日本円でも可)
2-1-2.申請・取得の手順
到着ビザ(VOA)の申請・取得手順は次のとおりです。
入国審査の手前にある「査証カウンター(Visa on Arrivalカウンター)」で申請し、取得します。
参考:ANA|ジャカルタ-スカルノ・ハッタ国際空港の施設案内
手順 | 詳細 | |
---|---|---|
1 | 査証カウンターで申請し、ビザ費用を支払う | インドネシアに到着したら、空港にある査証カウンターで到着ビザ(VOA)の申請を行い、50万ルピアを支払います。 50万ルピア相当であれば、米ドルや日本円で支払うことも可能です。 |
2 | レシートを受け取る | 申請が認められると、支払い済みの証明となる、レシートを受け取ります。 |
3 | 入国審査でレシートとパスポート等を提出する | レシートを受け取ったら入国審査に進み、レシートとパスポート、帰国便の航空券を提出します。 |
4 | パスポートにVOAステッカーを貼ってもらって、入国する | 問題なければ、パスポートにVOAステッカーを貼ってもらい、入国審査を通過します。 後々トラブルになる恐れがあるため、ステッカーが貼ってあることを確認しましょう。 |
2-2.事前にオンラインで到着ビザ(e-VOA)を申請・取得する
到着ビザ(e-VOA)を事前にe-VISA専用サイトでオンライン申請して取得する方法を解説します。
インドネシアに入国する前に取得しておけるので、空港到着時に申請・取得する手間を省けます。
2-2-1.申請時に必要なもの
到着ビザ(e-VOA)の申請時に必要なものは以下のとおりです。
- パスポート(パスポートの残存有効期間が6か月以上・査証欄が2ページ以上空白)
- パスポートサイズの顔写真
- 50万ルピアを支払うクレジットカード
- Eメールアドレス
2-2-2.申請・取得手順
到着ビザ(e-VOA)の申請・取得手順は次のとおりです。
- ① e-VISA専用サイトにアクセスする
(https://evisa.imigrasi.go.id/) - ② 各項目を選択する
- ③ 注意事項を確認する
- ④ パスポートの顔写真ページと写真をアップロードする
- ⑤ 費用をクレジットカードで決済する
- ⑥ 到着ビザ(e-VOA)を取得する
それぞれの詳細の内容は以下のとおりです。
手順 | 詳細 | |
---|---|---|
1 | 専用サイトにアクセスする | e-VISA専用サイトにアクセスします。 |
2 | 「Apply」をクリックして、各項目を選択する。 | 「国籍」「訪問の主な目的」「訪問の副目的」「ビザの種類」を選択します。 |
3 | 注意事項を確認する | 注意事項が表示されるので、確認して「Apply」をクリックします。 |
4 | パスポートの顔写真ページと写真をアップロードする | パスポートの顔写真ページと顔写真データをアップロードします。 |
5 | 自身の基本情報や滞在先の情報などを入力する | 写真データのアップロードが完了したら、自身の基本情報や滞在先の情報などを入力します。 その後、入力された情報を確認し、間違いがなければ申請を完了します。 |
6 | 費用をクレジットカードで決済する | 申請ステータスが「Waiting for Payment」になっていたら決済に進みます。 クレジットカード情報を入力し、決済すれば費用の支払は完了です。 なお、e-VOAのビザ費用は50万ルピアですが、クレジットカード払いでは決済手数料(1万9,500ルピア)が加算されます。 |
7 | e-VOAを取得する | 支払が完了したら、e-VOAをダウンロードできるURLリンクがメールで届きますので、プリントアウトしておきましょう。 |
参考:在インドネシア日本国大使館|インドネシアへの入国・滞在
参考:外務省|外務省海外安全情報「インドネシア」
参考:外務省|インドネシア入国時の到着ビザ(VOA)取得(注意喚起)
なお、到着ビザ(e-VOA)には有効期限があり、90日以内にインドネシアに入国しなければならない点に注意しましょう。
3. 「インデックスC・一時訪問ビザ」や「インデックスD・数次訪問ビザ」の申請・取得方法について
最大で60日間滞在できる「インデックスC・一時訪問ビザ」や60日以内なら何度でも出入国できる「インデックスD・数次訪問ビザ」を取得したい場合、
「e-VOA」と同じようにe-VISA専用サイトからオンラインで申請して取得します。
e-VISA専用サイト:https://evisa.imigrasi.go.id/
ただし、「e-VOA」のケースと異なり、e-VISA専用サイトの「アカウント」を作成する必要があります。
申請・取得の際の注意点|ビザの内容が細かく分類されている
注意点としては「インデックスB・到着ビザ」よりも
「インデックスC・一時訪問ビザ」や「インデックスD・数次訪問ビザ」は、内容が細かく分類されていることです。
例えば「インデックスC・一時訪問ビザ」では以下のように分類されており、入国目的に沿ったビザを取得しなければなりません。
- C1:観光・家族訪問・乗継
- C2:会議商談、物品の購入
- C3:治療を受ける
- C4:政府公務
- C5:ジャーナリズム・取材
- C6:社会奉仕活動
- C7:芸術文化
- C19:アフターサービス
- C20:機械の設置と修理
- C22:実習 等
また、それぞれ「費用」や「必要書類」が異なる点にも注意が必要です。
加えて、ビザの分類は予告なく変更されることも多いため、「一時訪問ビザ」や「数次訪問ビザ」を取得する際は専門家に相談したり、依頼したりすることをおすすめします。
4. 「インデックスE・一時滞在ビザ」の取得方法について
「インデックスE・一時滞在ビザ」はインドネシアで長期的な滞在をする際に必要となるビザです。
他のビザと同様に、「インデックスE・一時滞在ビザ」も以下のように細かく分類されています。
- E23:専門家・労働者として就労する
- E27:宗教活動をする
- E28:外国人投資家として活動する
- E31:家族の帯同する
- E32:本国へ帰還する(元インドネシア人)
- E33:セカンドホーム 等
ここではインドネシアでの就労を目的とした「一時滞在ビザ」を取得する方法について解説します。
一般的にインドネシア国内の受け入れ企業が、一時滞在ビザの申請を行います。
受け入れ側が必要な申請書類を揃えるので、パスポート等の基本的な書類を提出すれば、「一時滞在ビザ」を取得することができます。
行政から「就労者のインドネシアでの労働許可をもらう」ため、以下の手順で手続きを進めます。
- 1. 外国人雇用計画書(RPTKA)を労働省に提出する
- 2. 外国人労働者雇用補償金(DKPTKA)を支払う
- 3. 「一時滞在ビザ」を申請して取得する
- 4. 暫定居住許可証(ITAS)の申請を行い、取得する
参考:JETRO|インドネシア 外国人就業規制・在留許可、現地人の雇用 「在留許可」詳細
上記のように就労目的での「一時滞在ビザ」取得は手続きが非常に煩雑です。
加えて、ビザの申請は発給する部門の状況が頻繁に変わるため、同じ条件であってもビザが下りないケースも少なくありません。
したがって、現地の最新情報に詳しい現地コンサルティング会社などのインドネシアの専門家に依頼するのが一般的です。
就労ビザ取得を得意とするコンサルティング会社は下記記事で解説しています。あわせてご確認ください。
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